シングルマザーが野球ママを14年やった。父親なし・一人で乗り越えてきたこと

うちの母子家庭

強豪といわれる地元の少年野球チームを卒団するとき、シニアリーグに入りたいと言った息子に、私はこう伝えた。

「母親として、車出しも、お弁当も、お茶当番も、できることは全部やる。でも、うちには父親がいない。父親同士の情報交換がない分、監督の意向やチームの戦略がわからず不利になることもある。同じ実力の選手がいれば、監督だって父親がコーチとして手伝っている子に忖度するだろう。だから誰にも文句のつけようがないほど実力をつけないとレギュラーは厳しいと思う。それでもやりたいか?」

息子はやると言った。

そのまま高校野球、6大学野球まで続いた14年間。次男も中学・高校と野球部だった。私の土日は、ほぼ野球で埋まっていた。

シングルマザーとして野球ママをやるのは、正直しんどいことが多かった。でも、やり遂げた今、後悔はまったくない。父親なしで14年間、どうやって乗り越えてきたか。同じ立場で迷っている人に届けばいいと思って書く。

父親がいないと、情報が入ってこない

これが一番きつかった。

野球チームでは、父親同士がグラウンド整備や審判をしながら監督・コーチと話す機会が多い。練習の合間に立ち話をするその場で、先発起用の方針や選手への評価、次の試合の戦略が共有される。母親にはその輪に入れない。入れたとしても、場の空気として「ここは男同士の場」というものがある。

だから私は、別の方法で情報を取るようにした。信頼できるお母さんを一人見つけて、情報をシェアしてもらうことだ。旦那さんが熱心に関わっているご家庭と仲良くなれると、自然と情報が入ってきた。「今日監督がこんなことを言ってたよ」という一言が、息子への声かけに活きることがあった。

シングルマザーが野球チームに子供を入れるとき、同じ苦労をするかもしれない。でも、解決できないわけではなかった。

仕事と野球ママを両立するということ

平日はフルタイムで働き、土日は野球の応援と当番。これを何年も続けた。管理職になってからも、土日は基本的に野球優先で動いた。

仕事で平日に当番を変わってもらえないときは、他のお母さんに頭を下げた。その代わり、自分が動ける日には率先して当番を引き受けた。「できないときは正直に言う。できるときは人の分もやる」というスタンスを早めに決めたことで、チームの中での居場所が自然とできていった。

車出しも、シングルマザーには荷が重い場面があった。遠征の日は早朝から動くことになる。平日に仕事で消耗した体で、土曜の朝5時に起きる。それを何百回もやった。慣れるというよりは、「これが私の土日の形だ」と受け入れた感覚に近い。

グラウンドの炎天下を、ひとりで乗り越える

夏のグラウンドは過酷だ。日陰がない。照り返しがある。試合が長引けば朝から夕方まで外にいる。

旦那さんがいるご家庭は、二人で交代しながら休憩できる。シングルマザーはひとりで何時間でもそこにいる。最初の数年は何も準備せず毎回ぐったりして帰っていた。でも徐々に「これがあれば乗り越えられる」というグッズが絞られてきた。

ラッシュガード・アームカバー・クーラーボックス・レジャーシート。この組み合わせに行き着くまでに何年もかかった。使い続けたアイテムは楽天ROOMにまとめている。

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爽やかだけじゃない世界を、親も一緒に学んだ

チームスポーツは正々堂々だけでは成り立たない。理不尽な起用がある。監督との相性がある。仲間との軋轢がある。息子たちはその中で、折れそうになりながら続けた。

私は見守ることしかできなかった。でも今思うと、それで良かったと思っている。親が解決しなかったことで、子供が自分で乗り越える力をつけたと感じている。シングルマザーで、父親の代わりに監督に掛け合うこともできなかったが、それが結果的に息子の自立につながったかもしれない。

次男が高校で野球部に入ったとき、長男とはまったく違う関わり方をした。チームの雰囲気、監督との距離感、先輩との関係。同じ野球でもチームが変われば全部違う。14年間、二人分の野球を見守って、私もずいぶん育てられた気がする。

おわりに

シングルマザーが子供に野球をやらせることを迷っているなら、私の答えはひとつだ。できる。ただし、覚悟は要る。

情報は入りにくい。体力は使う。お金もかかる。それは正直に言う。でも14年やり遂げた今、後悔は一切ない。息子たちが野球を通じて得たもの、私が見守りながら学んだことは、他では得られなかったと思っている。

これはあくまで私の場合の話だ。同じように迷っている人の、何か参考になれば嬉しい。

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